わたしたちは120分間神様だったのだろうか:99才まで生きたあかんぼう見てきました

「99才まで生きたあかんぼう」観劇してきました。

辻さんの舞台は2011年の醒めながら見る夢以来で、当時無知ゆえにその作品の意図とかが理解できなかったので平日だし観に行こうか悩んでいたのですが、名古屋一般普通にチケット残っていたため、定時ダッシュして行ってきました。

以下、ネタバレアリとかなんでもありの感想です。

 

前アナがやけに明るいおじさんの声だな~と思ったら、辻さんご本人の録音でびっくりしました。「これはコメディなので、肩の力を抜いて見てください」的なことをおっしゃっていて、更に楽しみに。開演時間数秒前から舞台セットのセンターにあった電子板の数字が99からだんだんと遡り0になったら産声とともにあかんぼうの人生がスタートするという演出で、一気にストーリーに引き込まれました。

一言でいうと、凄く面白かったです!

原作のあらすじだけ読んで、他の情報は一切入れずに行ったのですが、役者さんと演出が素敵すぎた。役者さんが、一人で何役も演じられる中で、状況に応じて神様をやる方が、その事象にかかわりのある役をやられた役者さんだったり(夫婦間のことなら両親を演じていた方々が割とそうだったような)、名称が出てこない物語の中で散りばめられたキーワードが、伏線として回収されていくのとか、見ていて楽しかったです〜〜!

2時間という制限された時間で99年の人生を見せられるのは、それはそれは目まぐるしくて、悲しくて辛いシーンに涙すれば、すぐに幸せで楽しいシーンになり、短時間で涙を引っ込めるのが大変でした。 

この作品での神様は彼の終わりまでを知っているだけで、あかんぼうが辛い時何もすることが出来ない存在が彼の人生を見守り続けます(実際の神様もきっとそうなんだろうけど)。ただ、その場にいた私たちも120分間ただ舞台上で起こることを見守るこしか出来ない傍観者でしかないんですよね。でも、作品のところどころ主人公に共感できる部分があって、掛けられる言葉がまるで自分に対して向けられているようにも感じる。

神様になったような、また、あかんぼうの人生を一緒に生きているような、不思議な体験ができた舞台でした。

 

個人的に、村井さんの普通の人の演技が凄く好きで、今回の観に行くきっかけでもあったんですが、村井さんの放つセリフってなんだか素朴で共感できるんですよね。あかんぼうが自身を振り返り、弟子や子供、孫たちに伝える言葉や、母や妻に掛ける言葉が、ひたすら胸に刺さりました。笑顔に嘘が見えない素敵な演技だなあ~と、毎回見るたびに思います。一番魅せられたのは80代くらいで、母の命日(だったっけ?)に今日は自分がマザーズオムレツを作ると言い、厨房に立つシーン。あそこが、すごく好きでした。

後のキャストの方は、ほとんど初めて舞台に立つ姿を拝見したのですが、妻役を演じられていた松田さんが、めっちゃ妻で凄かったです(語彙力)。これ以上言いようがないんですが、玉城さんはもともと中性的なイメージだったので、お母さん役も違和感なかったし、馬場さんの娘役は最初は面白い要素だったと思うのですが、個人的に本当になんの印象も無かったのもあるかもしれないけど、すごく妻だった。男の子役とか神様とか演じてる時は普通に男性なのに、妻の時は物腰が柔らかく、あかんぼうを傍で支え、受け入れ、愛し合う、なんていうか大和撫子?。歳を重ねた演技も、「いい歳の取り方をしているおばあちゃん」という感じで、病床で家族を想うシーンなんかは、妻さんの感情がビシビシ伝わってくるようで、あかんぼうとのやり取り含め涙がとまりませんでした。あと、あかんぼうが亡くなるシーンで犬から妻になってそっとあかんぼうに寄り添う所は鳥肌でしたね。他の舞台もまた観に行ってみたいです。

そして、先程少し触れたのですが、馬場さんの娘役が凄くギャグだったのに、大学生になったくらいから文字通り「いい娘」に見えてくる不思議。きっとそういう演出とか構成になっているのかなと思ったけど、そうであってもなくても、あのギャップはすごいなと思いました。もちろん、出演されていた方みなさんそうだったんですけど。ただ、だって、あんなに大きいのに!娘だよ!!!最初マジか~って思ったけど、あんなに大きい娘なのに全然違和感なくなるんだよ!すごい!!

他にも言いたいことはたくさんあるけど、長くなるのでとりあえずより印象に残った事だけ上げましたが。観に行けてよかったし、仕事に疲れている社畜仲間の友達誘えばよかったと思う舞台でした。

人より少しでも長く勉強するぞ~~!笑

とりあえず原作を買ってきます。

支離滅裂ですが、次の舞台の予定は4月の艶漢。

繁忙期終わりかけなのに全然終わりが見えなくて絶望してるけど、楽しみ~~。